ぎんつながり← [沖土]
あいつの2歩は俺の3歩。
土方さんの歩幅は広くて、俺の歩幅じゃ少しばかり足りない。
それが無性に悔しくて。
一生懸命歩いたものだった。
「痛っつ……………」
一生懸命歩きすぎた。
筋肉痛に動く気もおこらず、畳に横になったまま天井を見上げる。
「いつ以来でィ…………筋肉痛なんざ」
そう、それは。
あの。
………………────────────
仰いだ世界に誰かが入って、俺を見下ろした。
「そこをどけ」
低い声に沖田は目を見開く。
「あ、あんた…………!!!?」
「何だ?」
紛れも無い。
「土方さん…………!!?」
武州に居た頃の、泥くさい顔がそこにはあった。
勢いよく起き上がると、土の道がまっすぐ伸びていて、あとは一面に雑草が生えていて。
武州の風景が広がっている。
屯所があるはずも無い。
面倒なことになってやがる。
「てめ、何者だ?」
昔ブッ倒した相手か?
土方さんは土方さんで俺のことが分からねーみたいですねィ。
ちっと寂しいんですが。
「何言ってんでィ、今の俺ならあんたなんざ楽勝でさァ」
「江戸のもんか…………上等だ、と言いてえところだが、」
「何でィ?」
「得物は?」
「あ、」
屯所に忘れてきちまった。
この道を行けば山口のおじさんの家がある。
入って竹刀を借りたいところだが、今の身なりじゃそれも無理で。
あれこれ悩んでいると土方が微笑う。
「変わったやつ、」
むきになって、言う。
「あんたほどじゃねーやい」
この土方さんは、今の俺と同年代。
違ェねえ。
なのに何故か、
やっぱり土方さんの方が大人みてーで、
俺と並ぶことが無いみてえで。
本当に分かんねえんで?
俺のこと。
「まあ良い、また会ったときにしてくれよ。今度はちゃんと得物持ってくんだな」
行かないで。
「土方ッ」
後ろから抱きついた。
そのまま押し倒す。
「ッ、てめ、何を…………!!!」
慣れたもんでしょ、
いつもあんたとヤッてますからねェ。
瞬く間に着物を捲って、行為を始めた。
土方の喘ぎが荒くなる。
いつからだったか、俺たちの距離が縮まったのは。
そう、上京してまもなく俺が江戸っ子口調も板についたとき。
仲間を初めて喪ったとき。
あんたが後ろから抱きしめてくれたんでしたねェ。
「お、い。離…………せ……ッア!!」
あんたの傍にいて、同じ経験だってたくさんした。
でも足りない。
同じになりたい。
出来るだけ共通点を増やしたい。
あと一歩なんだ。
ここまで来て。
気を失ったまま微動だにしない土方を後にする。
「待ってますぜ、10年間」
これ、浮気じゃねーよなァ。
と、少し思った。
「オイ、何してる総悟」
畳に横になったままの沖田に土方が声をかける。
「あ、戻ってきた……………」
過去から。
土方さんは意味が分かるはずも無く、
「ああ、ただいま」
と返事した。
やはり、夢だったんだろうか。
「夕飯だ、行くぞ」
ふと、土方さんが何か続ける。
聞こえない。
「え?」
「10年前、お前が────────」
続ける必要はなかった。
続けることは出来なかった。
「じゃあ、手合わせしましょうかねィ?」
得物はちゃんと持ってやすぜ。
土方が軽く頷く。
「土方さん、ただいま」
「ああ、おかえり。」
BL絵描いてる方って皆様上手いですねええええ
youtube観て悶えましたwww
てーかギンって目ェ開いてた方がかっこいい気がすr(ry